日産自動車、「日産先進衝突実験場」を公開

 

 

 

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座、社長:カルロス ゴーン)は、本日同社追浜地区(神奈川県横須賀市)内にて実施した日産安全ミーティング2005において、「日産先進衝突実験場」を初めて公開した。

 

 

日産先進衝突実験場は、主に車両同士の衝突事故における安全性の向上と、横転事故における乗員保護性能の向上を目的として導入された最新鋭の実験施設である。

本施設は、日産の安全コンセプトであるセーフティ・シールド(別項参照)に基づき、同社が既に有する日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)内のバリア衝突実験場(車両を隔壁に衝突させる方式の実験施設)に次いで新たに導入したものである。その特徴は、数々の事故事例の分析に基づいて、実際の事故により近い状況が再現できることにある。

具体的には、車両同士の衝突再現実験において、正面衝突や側面衝突の他、衝突角度を5°刻みに185°から85°まで設定できる。(正面衝突は180°、側面衝突は90°に相当)

さらに進行方向を同一とする車両同士が、斜めに衝突する事故の再現も可能となった。(同一方向衝突における衝突角度は5、10、15、30、45、60、75°の7種類が設定可能。)

また、横転時の乗員保護に関しても、米国法規(FMVSS208)に定めたれた台車式試験に加え、同社が実際の事故に即して策定した3種類の試験(トリップテスト*1、ディッチテスト*2、コークスクリューテスト*3)を含む合計4種類の評価ができる等、本施設の導入によって、より現実的で的確な開発を行なうことが可能となる。

既に同社ではマーチ以降の車両にてコンパチビリティ*4対応技術を導入し、日産独自の高強度安全ボディである 『ゾーンボディ*5』 をさらに進化させている。今後、本施設で得られる実験結果とコンピューターシミュレーションとを組み合わせることにより、さらなる安全性能向上を目指したさまざまな車両開発への寄与が期待される。

*1 トリップテスト (Trip Test):車両がスピン等で挙動を乱し、横滑り状態から縁石に当たる等により、横転にいたる事故を模擬した試験。
*2 ディッチテスト (Ditch Test):路面を逸脱し、斜面を斜めに降りながら横転にいたる事故を模擬した試験。
*3 コークスクリューテスト (Corkscrew Test):中央分離帯等に片輪を乗り上げ、そのまま浮き上がることによる横転事故を模擬した試験。
*4 コンパチビリティ :自車乗員の保護性能向上と、相手車両乗員への加害性低減を両立させる性能。
*5 ゾーンボディ :日産が97年より提唱している高強度安全ボディの名称。セーフティゾーン(高強度キャビン)とクラッシャブルゾーン(衝撃吸収ボディ)の組合せで乗員を守ることを特徴とする。



■セーフティ・シールド
  「クルマが人を守る」という考え方

日産自動車は交通事故のない安全なクルマ社会を目指し、2015年までに国内で日産車の関わる死亡・重傷者数を半減させる(1995年比)という高い目標を掲げ、現実の事故分析をもとに、より安全なクルマづくりを進めてきた。その結果2003年には1995年比で死亡・重傷者数が22%減少し、目標に向け着実な成果を上げている。

しかしながら世の中の事故の発生件数は増加傾向にあり、従来の致死亡・重傷率の低減努力に加えて、事故件数そのものを減らす努力も重要となってきている。
このような背景に基づき、同社は2004年より「セーフティ・シールド」という、より高度で積極的な安全に対するコンセプトを導入し、継続して商品化に取組んでいる。

同社の掲げる「セーフティ・シールド」の特徴は、通常運転から衝突後まで、状況に応じて常に「クルマが人を守る」という考え方にあり、ドライバーの運転を少しでも危険な状況に近づけないようサポートし続けることに主眼を置いている。

以 上