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日産自動車、第3世代となる先進安全自動車「日産ASV−3」を開発−車両間の相互通信により、交通事故の低減を目指す−

 

 

 

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は、車両間の相互通信(車車間通信*1)を利用することにより、交通事故低減を目指す第3世代の先進安全自動車「日産ASV-3」を新たに開発した。同社は、この「日産ASV-3」を用いて、国土交通省が主催するASV (Advanced Safety Vehicle) のシステム検証実験に参加しており、来る10月12日、13両日に北海道苫小牧市にて計画されている公開実験への参加も予定している。

 


日産ASV-3

 

今回開発した「日産 ASV-3」は、車車間通信を用いた情報提供システムを搭載するとともに、これまでのHMI(Human Machine Interface)研究開発成果を取り入れることで、クルマの周辺状況に関する情報をより早く、より効果的にドライバーに認知させることを可能としている。その結果、クルマの安全機能の充実に加えて、ドライバーがいち早く危険を回避するための行動を取ることが可能となり、更なる安全性の向上が期待できる。

具体的には、以下の5種類の事故状況を想定し、各々の場合において、車車間通信で得られた他車両の位置表示を行い、ドライバーがより早くクルマ周辺の状況を認知できるよう支援を行っている。

● 見通しの悪い交差点での出合頭事故
● 右折時における対向直進車との衝突事故
● 左折時における二輪車巻き込み事故
● 追突事故
● 同一方向、車線変更時における接触、衝突事故

なお、日産自動車の試算では、これらの事故は日本国内における交通事故全体の約6割*2が対象となる。

  【日産ASV-3におけるモニター内表示の例】          
● 見通しの悪い交差点での出合頭事故  
 
  【日産ASV-3におけるモニター内表示の例】 (アイコン)
● 右折時における対向直進車との衝突事故  



例えば、上記のケースでドライバーに認知させる方法としては、モニターに表示した車両のうち、衝突の可能性がある対象車両の色を青から黄色に変更して表示するとともに、アイコンと音で、ドライバーに注意をうながす。それでもなお、ブレーキを離して進もうとした場合には、さらに強調した音で、対象車両が近づいていることを知らせる。

さらに、日産自動車では、車車間通信を用いた将来の技術分野として、交通流改善の研究も行っている。数台先の先行車の減速情報を受信することにより、自車が必要とする減速度をあらかじめ割り出し、急激な減速を防ぐ。これにより、渋滞の原因となるショックウェーブ*3を改善し、各車両間で適切な車間距離を保つ速度制御を研究している。

また、車車間通信のみでなく、神奈川県で実施予定のITS活用プロジェクト*4においては、道路上のインフラと協調する安全運転支援と、テレマティクスによる渋滞・交通流改善の具体的な開発を計画している。

同社では、「クルマが人を守る」という「セーフティ・シールド*5」という考え方に基づき、より安全なクルマづくりを積極的に推進しており、国土交通省によるASVプロジェクトへの参加や、神奈川でのITS活用プロジェクトなど、官民一体となった活動に積極的に取り組んでいる。これらにより得られる知見を総合的に活用し、これからもあらゆる機会をとらえて、安全技術の発展を進めていく。

*1 車車間通信: 複数のクルマが無線通信機を搭載し、走行中の位置や方向等をお互いに送信し合い、情報を交換する通信システム。
*2 事故割合出典: 「交通事故統計年報 平成16年版」(財)交通事故総合分析センター資料による。
*3 ショックウェーブ:混雑した道路で、走行中の一台が何らかの理由で減速すると、後続車は接近を避けるために前車よりも強く減速する。そのため減速は大きくなりながら後続車に伝わり、後方では車両の流れが止まってしまう。このような現象をショックウエーブといい、渋滞発生の原因のひとつである。
*4 神奈川で実施予定のITS活用プロジェクト: 日産より2005年6月30日に発表した、神奈川県で実施予定のプロジェクト。 ITS(高度道路交通システム Intelligent Transport Systemsの略)を活用し交通事故低減や渋滞緩和を目的とする。
*5 セーフティ・シールド: 日産独自のより高度で積極的な安全に対するコンセプト。その特徴は通常運転から衝突後まで、状況に応じて常に「クルマが人を守る」という考え方にあり、ドライバーの運転を少しでも危険な状況に近づけないようサポートし続けることに主眼を置いている。

 

以 上