日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は、「日産環境理念:人とクルマと自然の共生」の実現を目指し、持続可能なモビリティ社会の発展に貢献するため、2010年に向けた中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム 2010」を発表した。
日産は「CO2排出量の削減」、「エミッションのクリーン化」及び「資源循環(リサイクル)」の3つを重要課題として考えている。「ニッサン・グリーンプログラム 2010」は、企業活動のあらゆる分野におけるCO2排出量削減への取り組みを中心とした具体的な行動計画である。CO2排出量削減を着実に推進していくため、同社の経営指標”QCT(Quality, Cost, Time)”に新たにCO2を加え、“QCT・C”として全社的にCO2マネジメントを実行していくことを決めた。また、CO2排出量削減には、他セクターと連動した総合的なアプローチにも取り組んでいく。本プログラムは、既に本年度よりスタートしており、グローバル日産環境マネジメントによって推進される。
日産は環境対応技術の開発をあらゆる角度から強力に推進し、特にCO2排出量の削減については長期的なロードマップに基づき、真に実効性のある技術と商品を投入していく。短中期では、内燃機関(エンジン)がグローバルにクルマの動力源の中心であり続けると考え、内燃機関の燃費向上技術を早く広く普及させることによって、CO2排出量の削減効果を最大化する。さらに、ガソリンエンジンの効率を究極まで高め、ガソリン3リッターで約100kmの走行が可能となる「3リッターカー」を開発する。長期的には電動車両の普及を進めるために、電動化技術の開発をさらに強化していく。具体的には2010年度の市場投入を目標に日産独自のシステムを搭載したハイブリッド車を開発するとともに、プラグイン・ハイブリッドの研究開発を推進する。また、2010年代の早い時期に新型燃料電池車、電気自動車を順次投入する。さらに、電動車両の基幹技術の一つであるリチウムイオンバッテリーについては、開発・生産・販売を行う新会社の設立に向けて準備を進めている。これらの技術、商品の投入は「市場に合った最適な技術を、最適なタイミングで、お客さまにとって最適な価値とともに投入する」という考え方に基づいて実行し、CO2の排出量を確実に削減していく。
- 「ニッサン・グリーンプログラム 2010」の主な目標
- 1.CO2排出量の削減
- 1-1.エンジン、トランスミッションによる燃費の向上
- 「平成22(2010)年度燃費基準+20%」、「平成17(2005)年排出ガス基準75%低減レベル」、リサイクル可能率90〜95%を達成し、室内環境にも配慮したエコカー6車種を年内に日本に投入
- ディーゼルエンジンと同等レベルまでCO2排出量を削減する(約-20%)ガソリンエンジン技術を開発し、2010年度よりグローバルに投入
- 直噴ガソリンエンジン(DIG)+次世代ターボ(4気筒)
- 直噴ガソリンエンジン(DIG)+バルブ作動角・リフト量連続可変システム(VEL) (6気筒、8気筒) - CO2排出量を約10%削減するバルブ作動角・リフト量連続可変システム(VEL)を搭載したエンジンを、2007年度より、グローバルに投入
- ハイブリッド車と同等レベルまでCO2排出量を削減する(約-30%)ガソリンエンジン搭載車「3リッターカー」*を、2010年を目標に日本より投入
*3リッターのガソリンで約100km走行可能 - 新型クリーンディーゼルエンジンの開発
- 新開発2リッタークラス クリーンディーゼル車(Euro4)を2007年度前半に欧州へ投入
- 将来の排気規制*をクリアするクリーンディーゼル車を2010年度より日本、北米、中国へ投入
(*日本:ポスト新長期規制、米国:Tier2 BIN5、欧州:Euro5相当) - バイオエタノール燃料対応車をグローバルに投入
- グローバルに全てのガソリンエンジンで、バイオエタノール混合率10%燃料(E10)に対応済
- 北米で2005年から発売しているタイタンFFV(Flexible Fuel Vehicle: バイオエタノール混合率85%対応車/E85)に加え、2007年よりアルマーダFFVを投入
- ブラジル市場へバイオエタノール混合率100%燃料(E100)対応車を3年以内に投入 - トランスミッションによるCO2排出量削減
- オートマチックトランスミッションに比較して約10%実用燃費を向上するCVT(無段変速機)搭載車を2007年度にグローバルで約100万台販売
- 1-2.電動車両技術の開発強化と電動車両の投入・普及
- 2010年度の北米、日本市場への投入を目標に、日産独自のシステムを搭載したハイブリッド車を開発
- 外部電源(家庭用コンセントなど)からバッテリーに充電した電気エネルギーを使い、電気自動車と同様のモーター走行が可能となるプラグイン・ハイブリッド車の研究開発を推進
- 自社開発の燃料電池スタックの性能を向上させた新型燃料電池車を2010年代の早い時期に日本、北米に投入
- 2010年までに実証実験を実施し、新型電気自動車を2010年代の早い時期に日本から投入
- リチウムイオンバッテリーの更なる性能向上、コスト低減を図るため、開発、生産、販売を行う新会社設立に向けて準備中
- 1-3.生産工場でのCO2排出量削減
- CO2排出量を7%削減(グローバル台当たりCO2排出量、2005年度比)
- 2.エミッションのクリーン化
- 2-1.自動車排出ガスの清浄化:各国の将来排気規制適合車の早期投入
- 2-2.生産工場でのVOC(揮発性有機化合物)削減
- グローバル:各国規制よりも厳しいVOC削減を推進
- 日本:VOC排出量原単位を10%削減年度比(2005年度比)
- 3.資源循環(リサイクル)
- 3-1.使用済み自動車のリサイクル実効率向上
- グローバル:リサイクル実効率95%達成に向けた活動の推進
- 日本:リサイクル実効率95%達成(2015年規制を5年前倒しで達成)
- 3-2.生産工場での再資源化率向上
- グローバル:各国でベストレベル達成
- 日本:再資源化率 100%達成
日産は1993年以降、環境行動計画を策定し、商品開発・生産・営業・サービス等事業のあらゆる分野において継続的に環境改善活動を行ってきた。2002年に発表した「ニッサン・グリーンプログラム 2005」では、平成22(2010)年度燃費基準の前倒し達成、超‐低排出ガス車(U-LEV)の早期拡大投入、リサイクル可能率95%など高い目標を掲げ、これらをほぼ達成した。また、この間、「環境コミュニケーション大賞」(主催:(財)地球・人間環境フォーラム、後援:環境省、日本経済新聞社)において「持続可能性報告優秀賞」を2年連続で受賞するなど情報公開においても着実な成果を上げてきた。同社は、今後とも「ニッサン・グリーンプログラム 2010」を中心とした環境への取り組みを一層強化、推進していく。
ニッサン・グリーンプログラム2010
取り組み項目 | 具体的内容と2010年度目標 | ||||||||||||||
CO2排出量の削減 | グローバルCO2マネジメント推進 | CO2を経営指標の一つに加えた新しいマネジメントウエイ"QCT・C" (Quality, Cost, Time, CO2)の導入と実行 <取り組み内容> グローバルなバリューチェーン(企業活動領域)でのCO2マネジメント体制の確立と運用開始(2008年度) |
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CO2排出量削減に向けた燃費向上 | 各国燃費基準の着実な達成と更なる燃費向上の推進
欧州 : 日本自動車工業会(JAMA)自主約束の達成に向け取り組みを推進 北米 : 更なる燃費向上に向けて継続的な取り組みを推進 中国 : 新燃費基準の達成と更なる燃費向上に向けて継続的取り組みを推進
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クリーンエネルギー車の開発と普及促進 |
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生産および物流におけるCO2排出量の削減 |
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販売会社、オフィスにおけるCO2排出量の管理・削減 |
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エミッションのクリーン化 | 自動車排出ガス清浄化 |
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グローバルな環境負荷物質の管理・削減 |
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生産における塗装VOC排出量の削減 |
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販売会社における環境負荷物質の管理・削減 |
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車外騒音低減 | 各国車外騒音規制値より厳しい自主基準値を定めて全車両で達成 | ||||||||||||||
資源循環(リサイクル) | リサイクル実効率向上に向けたリサイクル設計の推進 |
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資源の有効活用 |
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市場および販売会社におけるリサイクル活動の推進 |
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マネジメント | ビジネスパートナーにおける環境マネジメント強化 |
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事業活動全般における環境マネジメント強化 |
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従業員の環境マインド向上 |
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社会との協同 | 他セクターと連動した総合的な取り組みの推進 |
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環境情報の開示とステークホルダーとのコミュニケーションの充実 |
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以 上