日産自動車、飲酒運転の根絶に向けて産業医科大学と共同研究を実施

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は、飲酒運転の根絶に向けた取り組みの一環として、産業医科大学*産業保健学部(北九州市八幡西区)と、飲酒により体内に含まれるアルコールが、生理・心理・行動にどう影響するかを調べる共同研究を実施すると発表した。本研究を通じて、アルコールによる認知ミス、判断ミス、操作ミスがどのように発生するかを解明することによって、飲酒による運転操作の乱れを早く正確に検出する技術の精度向上が期待できる。この共同研究には、財団法人北九州産業学術推進機構から研究助成金(産学連携研究開発事業助成金)が与えられる。

飲酒運転によって引き起こされる事故は、年々その深刻度を増しており、同社は飲酒運転の根絶に向けて、ドライバーに「飲酒したら運転しない」よう促し、飲酒運転を防止する機能の開発に積極的に取り組んでいる。
同社は、飲酒運転防止コンセプトカーを使って、ドライバーの身体から発散するアルコールの検出、飲酒によるドライバー状態(居眠り等)の検出、飲酒による運転操作の乱れ(ふらつき運転)の検出、及び警報手段について研究開発を進めているが、この開発をより実効のあるものとするためには、ドライバーが体内に摂取したアルコールによる実際の影響と、そのメカニズムを明らかにする必要があると考えている。

産業医科大学と共同で本基盤研究を進めることによって、体内のアルコール濃度が運転に必要な認知・判断・操作の各プロセスに与える影響を詳細に分析し、飲酒による運転操作の乱れが発生するメカニズムを解明することによって、飲酒による運転操作の乱れを検出する技術の高精度化につなげていく。また、この共同研究の結果によって、日産でドライビング・シミュレーターなどを用いて別途研究しているアルコールが運転操作に及ぼす影響を詳細に理解することが可能となる。

本共同研究は7月より開始し、第一次の実験として、被験者が飲酒後にPC上の簡単なシミュレータ作業を行い、生理・心理・行動状態を示す各種データを計測した(10月〜11月)。12月17日からは第二次の実験を開始し、第一次実験では計測しなかった生理指標の計測を行なう。これらを総合的に分析し、飲酒状態(血中アルコール濃度)を推定可能な生理・心理・行動指標を探る共同研究は、2008年3月末まで実施する予定である。

日産は交通事故のない安全なクルマ社会を目指し、2015年までに、日産車がかかわる死亡・重傷者数を半減させる(1995年比)という目標を掲げ、安全なクルマづくりを推進している。飲酒運転根絶に向けては、エンジン始動時にカーナビ画面へ飲酒運転防止メッセージを表示させる機能を07年6月から搭載を開始し、07年7月よりドライバーの呼気中のアルコール濃度が規定値を超える場合にはエンジンを始動できないようにする装置について自治体と連携してトライアルを行っている。今後も真に安全なクルマ社会の実現のため、様々な角度から幅広く飲酒運転防止技術の開発に取り組んでいく。

*学校法人 産業医科大学: 〒807-8555 北九州市八幡西区医生ヶ丘1番1号

以 上