山本龍司、英国で最速タイムを連発し連続入賞を飾る

3月31日 英国ブランズハッチサーキット
フォーミュラ・ルノー英国選手権の2008年シーズンが、ブランズハッチサーキットで開幕した。日産・ニスモのスカラシップを受けて参戦2シーズン目を迎えた山本龍司(19)は、午前中に行われた第1戦では10位からスタートし、5位に0.009秒差の6位でゴール。8位からスタートした午後の第2戦でも、コンスタントな走りで5位に入賞。なお第1戦では、レース中の最速周回タイムも記録し、幸先の良いシーズンのスタートをきった。

ブランズハッチは、ロンドンの南東、32kmほどに位置するアップダウンの激しいサーキット。1986年まではF1イギリスグランプリも開催されたイギリスでも由緒あるコースである。フォーミュラ・ルノーのレースでは、一周1.1986マイル(約1.918km)のショートコースを使用して行われる。

第1戦、山本の予選順位は10位。しかし、ポールポジションから0秒294差、9位とは全くの同タイム、8位とも0秒02の僅差で、昨年以上の混戦模様。

午前10時に24周の決勝レースがスタートした。ポールポジションからスタートしたアレクサンダー・シムズ(英)が脱落する一方、山本は順調なスタートを決め9位で1周目を終える。その後は昨年からのライバル、アドリアーノ・ブザイド(ブラジル)、塙 翔(日本)と三つ巴でテール・トゥ・ノーズのバトルを演じる。常に前を行くライバル達よりも0.1〜0.2秒早いタイムで周回を重ねていた山本は13周目、ホームストレートで2台に並ぶと、続くジェットコースターのような下りの第1コーナーで2台を同時にパス、7位に順位を上げた。

16周目に自己ベストとなる47秒507を記録しながら6位にポジションアップすると、そこから1周ごとにペースアップ。17周目には47秒341の最速タイムをたたき出した。さらに19周目、22周目には最速タイムを更新しながら5秒近くあったクリス・ロアーン(英)との差を0.7秒まで詰め、追い抜きのチャンスを伺う。最終的にはロアーンから0.009秒というわずかな差で24周のチェッカーを受けた山本だったが、充実したレースとそこで得られた自信は大きな収穫となった。

第2戦は、全体的に順位の変動が少ないレースではあったが、第1レースのポールポジション獲得ドライバー、シムズ、予選4位からスタートしたジョーダン・オークス(英)とバトルを演じ、レース中盤の16周目にオークスを抜いて5位に上がるとポジションを守ってチェッカーを受けた。

山本龍司
「タイヤの空気圧は低めに設定した方がレース中のマシンバランスが良いことが練習走行、予選を分析して分かったので、第1レースの決勝には空気圧が低めのタイヤで臨みました。前にいたマシンは、(タイヤの空気圧が高く)レース序盤からグリップが良いようでしたが、頑張ってそれよりも速いペースで周回できました。後半になると、戦略どおり、こちらのペースが1秒近く速くなったので、落ち着いて走れました。バトルは激しかったですが、良いレースでした。リタイアで始まった去年と違って、いい出だしです。今年はこの調子でいいシーズンが過ごせるような気がします。今日は6位、5位と来ました。コンスタントに完走するよう努力していけば、あと少しで(表彰台のてっぺんに)行けると思います」

ニッサン・ドライバー・デベロップメント・プログラム(NISSAN D.D.P.) 2006年、日産、トヨタ、ホンダの3メーカーが「世界に通用する若手ドライバーの育成」を目標に、新しいフォーミュラカー(F1に代表される単座のレーシングカー)シリーズであるフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)を立ち上げた。同時に、日産も他の2メーカーと同様、数名のドライバーに対してスカラシップ・プログラムを実施。2006年、2007年シーズンは4名のドライバーに参戦サポートを行った。

山本は2006年にFCJでチャンピオンと同ポイントの総合2位(優勝回数の差による)を獲得。今年は昨年に引き続き日産独自の「アドバンス・スカラシップ」を受けて英国各地を転戦する英国フォーミュラ・ルノー選手権に参戦する。同シリーズは、イタリアのレーシングカーメーカー、タトゥース社製の車体に、ルノーの直列4気筒2000cc市販エンジンを搭載したフォーミュラカーで行われるレース。F3(フォーミュラ3)の一つ下に位置し、FCJと同じ「ミドルフォーミュラ」に分類されるカテゴリーである。

なお、日産・ニスモは2008年シーズンも引き続き、4名の若手ドライバーにスカラシップを提供し、FCJへの参戦もサポートしている。

以 上