日産自動車、国連大学高等研究所と生物多様性に関する共同研究を推進

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は、同社の中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム 2010」に基づく取り組みとして、国連大学高等研究所*1(神奈川県横浜市西区みなとみらい 所長:A.H.ザクリ)と生物多様性*2保全に関する共同研究を推進しており、このたびその一環として有識者とのワークショップを開催した。

本共同研究は、生物多様性が保全されることで自然が社会にもたらす価値(生態系サービス)に焦点を当て、自動車ビジネスのバリューチェーン全体を通してどれだけの生態系サービスに依存し、また影響を与えているかを明らかにすることを目的としている。研究成果は2008年度末までに国連大学高等研究所との共同研究レポートとして公表する予定である。国連大学高等研究所は、2005年に発表された世界の生態系の健康度を評価した国連プロジェクト「ミレニアム生態系評価」において中心的な役割を担い、同社とは2007年から共同研究を実施している。

今回のワークショップでは、スタンフォード大学のハロルド ムーニー教授や国際環境NGOコンサベーション・インターナショナルをはじめ世界的に活躍する環境分野の有識者を招聘し、自動車ビジネスと特に関係が深いと考えられるバイオ燃料や水資源などの生態系サービスをテーマに、今後の社会および自動車ビジネスへの影響などを論議した。ワークショップの結果は共同研究レポートに含まれる予定である。

生物多様性は、1992年国連環境開発会議において、気候変動とならぶ重要な地球環境問題と位置づけられ、生物多様性条約のもと締約国ごとに取り組みが進められている。2006年に開催されたCOP8(生物多様性条約第8回締約国会議)では、産業界の参加を促す決議が採択され、企業における取り組みが期待されている。さらに2010年に愛知県で開催されるCOP10に向けて、国際的な関心が高まっている。

同社は、1992年に制定した日産環境理念「人とクルマと自然の共生」の実現を目指して、「ニッサン・グリーンプログラム2010」に基づき「日産の企業活動と日産車の使用過程から生じる環境負荷と資源の利用を自然が吸収可能なレベルに抑える」ことを究極のゴールとした取り組みを推進しており、今回の共同研究もその一環として実施している。

<ワークショップ概要>
■日時: 2008年8月14日(木)〜15日(金)
■場所: 米国カリフォルニア州 パロアルト
■共同研究者
W.ブラドニー チェインバース氏 (国連大学高等研究所 シニアプログラムオフィサー) ■招聘した有識者:
ハロルド A.ムーニー氏 (スタンフォード大学 教授)
チャールズ ぺリング氏 (アリゾナ州立大学 教授)
ジャネット ランガナサン氏 (世界資源研究所 副所長)
ジョン フィニスドア氏 (世界資源研究所)
マリエール キャンター ウェイケル氏 (コンサベーション・インターナショナル)
マイケル クリーマン氏 (カリフォルニア大学シニアフェロー)
ヘザー タリス氏 (ナチュラルキャピタルプロジェクト)
■ワークショップコーディネート
枝廣淳子氏、小田理一郎氏 (チェンジエージェント社) ■日産からの参加者
広田寿男(エキスパートリーダー)はじめ計6名

*1国連大学高等研究所:1996年に設立された国連大学直属の研究機関。持続可能な開発の諸問題に対する政策決定の研究を促進することを使命としており、「持続可能な開発のための科学政策」「生態系と人びと」「持続可能な開発のための教育」などを主に研究している。

*2生物多様性:すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息または生育の場のいかんを問わない)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性および生態系の多様性を含む。(生物多様性条約における定義)

以 上