日産自動車、ITSを活用した寒冷地のスリップ事故低減を目指すサービスの運用を開始

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は10日、ITS*1を活用し、寒冷地のスリップ事故低減を目指す「スリップ情報提供サービス」と「道路ライブカメラ画像配信サービス」の2つのサービスの運用を開始すると発表した。これらのサービスは、同社のカーナビゲーション向け情報配信サービス「カーウイングス」を通じて行われるものである。昨年度実証実験を行った「スリップ情報提供サービス」は、本年12月より北海道札幌市及び近郊において全国に先駆け試行運用を開始し、「道路ライブカメラ画像配信サービス」は、同年11月より社会実験を開始する。

(1)スリップ情報提供サービス
本サービスは、スリップの可能性があるエリア付近を走行するドライバーに、スリップが発生した情報をナビゲーションの画面上に表示し、あわせて音声で注意を促す。本サービスにより、ドライバーがスリップしやすいエリアの手前であらかじめ注意し、余裕を持った減速行動が取れるという効果が期待できる。なお、同社が2007年11月よりSKY(スカイ)プロジェクト*2の一環として北海道札幌市及び近郊で実施した100台規模の実証実験の結果では、本サービスの利用により、前方の路面状況を注意深く観察し、慎重な運転やスピードを控えた運転行動につながるとの評価が確認できており、また、スリップ情報が無い場所でも安全運転意識が持続するという評価が得られている。

  1. スリップエリア情報
    • 最新のスリップエリア
      カーウイングスの通信によって収集する、車両の走行位置やABS(アンチロックブレーキシステム)作動等のプローブ情報*3から把握した、最新のスリップエリア情報
    • 上記最新のスリップエリア情報を蓄積したスリップ多発エリア情報
  2. 冬季事故地点情報
    • 過去スリップ事故が発生した地点の情報
スリップエリア情報

(2)道路ライブカメラ画像配信サービス
(独立行政法人)土木研究所 寒地土木研究所より提供*4されている北海道の主要な峠の道路画像情報をカーウイングスナビゲーション上で表示*5するサービスの社会実験を本年11月より開始する。

ライブカメラの画像は15分毎に更新され、ドライバーに運転負荷の少ない「情報チャンネル」を通じて提供される。また、更なる利便性の向上のために、道路画像情報がドライバーの負荷なく適切なタイミングで提供されているかを検証する。本サービスは、社会実験として、全てのカーウイングス会員が利用することができる。

道路ライブカメラ映像配信サービス

また、同社は、(独)土木研究所 寒地土木研究所 寒地道路研究グループと共同し、スリップ発生エリア情報の活用により、ドライバーへの注意喚起や冬期路面管理を効率的に行うための研究を進めている。同社は、引き続きお客様の安全で快適なドライブをサポートするため、カーウイングスサービスの更なる拡充へ向けて取り組んでいく。

  • *1 Intelligent Transport Systems: 人、道路、車両を情報でつなぐ高度道路交通システム
  • *2 SKYプロジェクト: SKY(スカイ)は、Start ITS from Kanagawa, Yokohamaの略。日産自動車(株)、(株)NTTドコモ、パナソニック(株)、(株)ザナヴィ・インフォマティクスにてプロジェクトを運営する。
  • *3 携帯電話の通信を用いて得られる車両の位置、速度などの情報
  • *4 北海道開発局が提供する静止画像や気象情報などの道路管理情報に加え、寒地土木研究所の独自情報と合わせて同研究所が運営する「北の道ナビ(http://northern-road.jp/navi)」のコンテンツとして、インターネットや携帯電話にて提供している北海道の主要な12峠の道路画像情報を提供。
  • *5 同研究所が策定した道路用Web記述言語RWMLを元に、日産のテレマティクスエージェントが編集・加工し表示。RWML(Road Web Markup Language)とは、インターネットの次世代記述言語XMLで、道路情報が流通することを目的とし、(独)寒地土木研究所が共同研究グループとともに策定した道路用Web記述言語である。
    テレマティクスエージェントとは、2006年9月26日に当社が発表した、車内でインターネット情報を入手しドライブの楽しさを向上させる世界初の機能で、インターネット上を流通するデータをカーナビゲーションで表示・読み上げ可能な形式に変換する機能である。

以 上