日産自動車、超小型電気自動車「ハイパーミニ」で共同実証実験プロジェクトに参加
-来年2月より販売を開始-
ハイパーミニ
日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座、社長:塙義一)は、都市コミューターに最適なクルマとして開発した超小型電気自動車「ハイパーミニ」で、来年2月の販売開始に先立ち、横浜みなとみらい21地区で行われる「都心レンタカーシステム」、及び神奈川県海老名市で行われる「海老名プロジェクト」の2つの共同実証実験プロジェクトに参加する。具体的には、(財)自動車走行電子技術協会による横浜みなとみらい21地区での実証実験プロジェクト「都心レンタカーシステム」に、「ハイパーミニ」を20台納入し、2000年1月より実験を開始する予定である。そして、建設省、神奈川県、海老名市が共同で神奈川県海老名市において2000年1月より開始する共同利用システムによるパークアンドライド実験「海老名プロジェクト」にも「ハイパーミニ」を15台納入する予定である。
また、来年2月より、官公庁、自治体、法人等を中心に、マウント式200V充電器付車を400万円、キャスター付200V充電器付車を401.5万円(両車とも税別、共同実証実験プロジェクト用積載機器システムについては別途料金)で販売開始する。
尚、販売地域については、当面、首都圏及び京阪神地区(東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫)、取扱い販売会社については、該当地域の日産系、モーター系各販売会社を予定している。
車両概要
都市コミューターとして開発された専用ボディをもつ2人乗りの超小型電気自動車である「ハイパーミニ」の車両概要は以下の通りである。
1.新技術として、軽量かつ剛性の高いアルミスペースフレームをベースとして、スチールや樹脂といった部材を組み合わせ、それぞれの材料の利点を生かしたハイパーミニ専用ボディ「HYPERBODY」を採用した。また、万一パンクしても、時速60km/hで約80km走行可能なランフラットタイヤを採用している。
2.エクステリアについては、躍動感あふれる、見た瞬間乗ってみたくなるような張りのある面構成のデザインとし、インテリアについては、水平基調で開放感のあるインストルメントパネルを中心に機能性と先進性を合わせ持つデザインとした。
3.アルミスペースフレームをベースとした軽量で剛性の高い車体と、ネオジム磁石同期モーター、正極にマンガン酸リチウムを採用し、低コスト化を図った小型軽量の高性能リチウムイオンバッテリーを搭載することより、一回の充電で115km*(10・15モード)の走行距離を可能としている。また、最高速度は100km/hとなっている。さらに1km当たり約1円(充電に深夜電力を利用した時)という非常に高い経済性を実現している。
*社内測定値。エアコン不使用時。道路状況や天候等で走行距離は変動します。
4.充電については、通常車庫等に常設するAC200Vの小型充電器により約4時間でフル充電が可能である。充電方式については、非接触で安全かつ簡単に充電が可能なインダクティブ充電方式を採用している。
5.環境へも配慮し、車体のベースとなるアルミ材がリサイクル性に優れていることに加え、樹脂にもリサイクル性の高い熱可塑性樹脂を使用した。また、使用済み自動車からプラスチック部品を回収しそれらの素材を同じ部品にリサイクルしたリサイクル部品をバンパー、インストルメントパネル、インストダクト、カーペットに採用した。
<ハイパーミニ 主要諸元>
●寸法 | 全長×全幅×全高 | (mm) | 2665×1475×1550 |
ホイールベース | (mm) | 1890 | |
トレッド | (FR/RR) | 1290/1270 | |
● 重量 | 車両重量 | (kg) | 840 |
● 定員 | 乗車定員 | (名) | 2 |
● 性能 | 最小回転半径 | (m) | 3.9 |
一充電走行距離 | (km) | 115*(10・15モード) | |
●電動機 | 種類 | 交流同期電動機(ネオジム磁石式同期モーター) | |
最高出力 | 24kW (33ps) | ||
最大トルク | 13.3kgm(130Nm) | ||
● 主電池 | 種類 | リチウムイオン電池 | |
容量・個数 | (Ah(HR)・個) | 90(3)・4 | |
●諸装置 | 駆動方式 | 後輪駆動 | |
タイヤサイズ | 前:145/65 R14 | ||
後:165/60 R14 | |||
サスペンション形式 | 前:ストラット式 | ||
後:ストラット式 | |||
ブレーキ | (FR/RR) | ベンチレーテッドディスク式/ディスク式 | |
ステアリング形式 | パワーアシスト付ラック&ピニオン式 |
*一充電走行距離は定められた試験条件のもとでの社内測定値
<参考>
共同利用システム
現在「ハイパーミニ」を使用した共同利用システムとして2つのプロジェクトが予定されている。
●(財)自動車走行電子技術協会ITS/EV新交通システム研究委員会「都心レンタカー・システム」
このプロジェクトは、環境にやさしく、利用者の利便性を重視した新しい交通システムを構築するため、ITS技術を活用したEVの利用システムの開発と、その利用システムの実験を行い、EVの普及を促進する社会実験プロジェクトである。
この実証実験プロジェクトの中に、「ハイパーミニ」も参加する。ITS機能を利用してクルマの位置検出、状態把握をする他、クルマに対して適切な情報を送信できるように、管理センターとドライバーが相互交信も行う。
実験場所には「横浜みなとみらい21地区」を選び、今年9月より実験がスタートしており、2000年1月からは、「ハイパーミニ」を使った実験もスタートする予定になっている。「都心レンタカー・システム」は、横浜みなとみらい21地区に勤務される方々に、業務用として車両を使用していただくシステムである。
車両ステーションでは無人で貸出/返却が行われる。管理センターは、予約受付の他、車両状態管理、利用者認証の機能を持っています。車両には、通信機能付カーナビゲーションシステムが搭載され、情報通信により、車両、管理センター、利用者の三者間で、効率的で利便性の高い運用が行われる。
具体的には、現在地からステーションまでの経路をボタン一つで検索する「帰り道一発検索ボタン」、困った時に管理センターと連絡が取れる「コールボタン」、利用する毎にCO2排出抑制量を計算する「環境貢献度表示」、車両が返却場所まで戻れなくなる前に警告を行う「バッテリー残量警告機能」、利用者の不満を把握する「CSボタン」などである。
実験開始後、横浜みなとみらい21地区の宿泊施設から近隣の観光スポットをまわる観光用途を組合せ、稼働率の向上と地域の環境イメージ向上を図っていくことも合わせて検討している。
*本プロジェクトは、新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)、(財)日本電動車両協会の協力により運営される。
●海老名プロジェクト
このプロジェクトは神奈川県海老名市で、2000年1月より開始される共同利用システムによるパークアンドライド実験である。
共同利用システムを用いたパークアンドライドについては、交通や街づくりにも効果があることから、建設省、神奈川県、海老名市が共同で研究を進めているが、この度、建設省支援社会実験として選定され、海老名市で実験を行うことになった。
この実験車両として、「ハイパーミニ」が使われる。
実験では、市民モニターを募集し、「ハイパーミニ」を朝夕の通勤に利用していただくと共に、日中、市役所の公用車両として利用することにより、共有化における効果や課題の整理を行うことが目的とされている。
実験は2ヶ年予定されており、ICカードによる車両管理システムなどの運用実験を通して実用化に向けた課題の整理を行いながら、実施地域の拡大や、民間企業への拡大を図り、このシステムが広く利用されるように検討していく。
(了)