日産、ル・マンで24時間の戦いを終える

  • Nissan GT-R LM NISMO がル・マン24時間のデビュー戦を終了
  • ル・マンに初登場した3台のマシンは10時間、23時間、24時間を走行
  • LM P2クラスでは日産エンジン車両が上位6台を独占

2015年6月14日 ル・マン(フランス)
日産が送り出すル・マン参戦車両、Nissan GT-R LM NISMOがこの週末、ル・マン24時間でのデビューを果たし、ハリー・ティンクネル(英国)、ミハエル・クルム(ドイツ)、アレックス・バンコム(英国)の#22 Nissan GT-R LM NISMOが世界で最も名誉あるレースを戦い抜き、日曜日午後の15時にチェッカーフラッグを受けました。

レースがスタートしてからの10時間、3台のNissan GT-R LM NISMOは走行を続け、全車が13.629kmのル・マンサーキットを100周以上走行。#22 Nissan GT-R LM NISMOは通常起こり得るようなトラブルに対応する程度でしたが、最大の危機は、レースがスタートしてちょうど9時間を迎えた頃に訪れました。ティンクネルが、時速340kmでインディアナポリス・コーナーに進入していく際にコース上の大きな散乱物を引っかけてしまったのです。

「きっちりラインに沿って走っている時に、大きな何かにヒットするとは思ってもいませんでした。その時はマシンのフィーリングもよかったので、ダメージを受けてタイムをロスするようなことになってしまい、本当に残念です。私たちはレース序盤は少し苦戦していましたが、その後はマシンを無事にフィニッシュまで辿り着かせることに専念しました」とティンクネルは述べました。

ル・マン24時間はどんなマニュファクチャラーにとっても壮大なチャレンジですが、ル・マンにデビューを果たすためには、はかり知れない努力が求められます。日産/ニスモチームは、2014年に初めてNissan GT-R LM NISMOをコースに登場させて以来、止まることなく開発を続けてきました。そしてこの週末はチームがマシンの走行を続けさせるために奮闘する中で、数え切れないほどの経験を積むことができました。
最初の深刻なトラブルが出たのは10時間後。#21 Nissan GT-R LM NISMOがタイヤを失ってしまいました。松田次生が全力を尽くしましたが、ピットに戻ることはできませんでした。この21号車は、松田のチームメイト、ルーカス・オルドネス(スペイン)がスタートを務め、マーク・シュルツイスキー(ロシア)に交替。その後を松田が受け継ぎました。

「私たちにとって厳しいル・マン24時間となりました」とオルドネスは述べました。「レースのスタートはうまく行きました。最初はクリーンないいスティントになりましたが、夜になるとトラブルを抱えるようになり、その後、ツギオ(松田)の時にタイヤの一本にトラブルが発生し、ピットに戻ることができなくなりました。FFのマシンでフロントのタイヤがなくなるのは、理想的なことではありません。本当に不運でしたが、この数週間、数ヶ月、並々ならぬ努力を費やしてきてくれたチームに感謝しています。今後も経験を積んでいき、将来のために向上して開発を続けていきます」

松田は「コースにもかなり慣れて予選タイムを上回るペースで順調に走行していたのですが、第1シケインの先で右フロントタイヤが外れてしまいました。マシンを仕上げてくれたクルーみんなの思いを胸に完走したいと思っていたので、何としてでもピットに戻ろうとしたのですが、オイル漏れもあり途中でマシンを止めることになってしまいました。リタイヤは本当に残念ですが、実戦で8時間走れたことはとても大きな収穫ですし、僕自身も初めてのル・マンで多くを学びました。日本からパブリックビューイングやテレビを通じて応援してくれたファンの皆さん、どうもありがとうございました」と述べました。

#23 Nissan GT-R LM NISMOはサスペンションのトラブルで残り1時間でリタイアと、最も辛い形でレースを終えたと言えるかもしれません。ヤン・マーデンボロー(英国)とチームメイトのマックス・チルトン(英国)、オリビエ・プラ(フランス)は、クラッチのトラブルでスタートが遅れましたが、その後流れに乗り、フィニッシュも目前というところでした。マーデンボローは、あと1時間でレースのフィニッシュを迎えるという時に、コースを去ることを余儀なくされました。

「スタートが遅れたということは、それに伴う危険も避けられたということです」とマーデンボローは述べました。「開幕周はとてもいい内容となり、タイヤはトリプルスティントまで持たせ、とにかくマシンに走行を続けさせることに専念し続けました。あと1時間でフィニッシュというところで、マシンをリタイアさせなくてはならなかったのです。何とか走行を続けられるように全力を尽くしましたが、#23 Nissan GT-R LM NISMOはそこで終わってしまいました。レースが進んでいく中でもさらに前進を続けていたので、マシンはスタートの時点よりも格段によくなっていたのに、そのマシンのレースを終えなくてはならなかったのです。これまでがんばってくれた、特にこの数週間は必死で取り組んできてくれたクルーには感謝しています」

「今は、チームのことを心から誇りに思う気持ちでいっぱいです」と日産のダレン・コックスは述べました。「もちろんトラブルもありましたが、革新的な技術を採用していく中では起こり得ることです。私たちのエンジンは強く、他のトラブルも迅速に対処することができました。ル・マンでは計り知れないほど多くのことを学びましたし、私たちのバトルとは、自分自身が強くなることなのです」

LM P1プログラムに加え、日産はこのル・マンで多くのLM P2チームにエンジンを供給しました。これら日産エンジンを搭載したマシンのうち7台が、LM P2クラスの上位を独占しました。優勝を果たしたのは、#47 KCMG オレカ・ニッサン。昨年の覇者であるJOTAスポーツ・ギブソン・ニッサン、#26 Gドライブ・リジェ・ニッサンが表彰台に上がりました。日産のGTアカデミーを卒業したばかりのガーテン・パルトウは自分の担当が回ってくる前にマシンがリタイアしてしまい、残念ながらレースを経験することはできませんでした。

Nissan GT-R LM NISMOが次に挑むレースは、8月30日に開催されるFIA世界耐久選手権第4戦ニュルブルクリンク6時間です。


<レース結果>

Pos No Machine Driver Class Laps Time
1 19 Porsche 919 Hybrid HULKENBERG / BAMBER / TANDY LMP1 395 24:00'42.784
2 17 Porsche 919 Hybrid BERNHARD / WEBBER / HARTLEY LMP1 394 24:00'42.916
3 7 Audi R18 e-tron quattro FASSLER / LOTTERER / TRELUYER LMP1 393 24:01'38.637
4 8 Audi R18 e-tron quattro DI GRASSI / DUVAL / JARVIS LMP1 392 24:00'45.336
5 18 Porsche 919 Hybrid DUMAS / JANI / LIEB LMP1 391 24:00'49.233
6 2 Toyota TS 040 - Hybrid WURZ / SARRAZIN / CONWAY LMP1 387 24:01'08.581
7 9 Audi R18 e-tron quattro ALBUQUERQUE / BONANOMI / RAST LMP1 387 24:03'43.663
8 1 Toyota TS 040 - Hybrid DAVIDSON / BUEMI / NAKAJIMA LMP1 386 24:02'52.724
9 47 Oreca 05 - Nissan HOWSON / BRADLEY / LAPIERRE LMP2 358 24:00'56.706
10 38 Gibson 015S - Nissan DOLAN / EVANS / TURVEY LMP2 358 24:01'44.888
11 26 Ligier JS P2 - Nissan RUSINOV / CANAL / BIRD LMP2 358 24:02'44.228
12 28 Ligier JS P2 - Nissan YACAMAN / DERANI / GONZALEZ LMP2 354 24:03'53.406
13 48 Oreca 03R - Nissan CHANDHOK / PATTERSON / BERTHON LMP2 347 24:00'44.108
14 27 BR01 - Nissan MEDIANI / MARKOZOV / MINASSIAN LMP2 340 24:02'58.752
16 45 Oreca 03R - Nissan IBANEZ / PERRET / BELLAROSA LMP2 337 24:00'44.914
19 29 Morgan - Nissan ROUSSEL / TUNG / CHENG LMP2 334 24:00'46.145
29 35 Ligier JS P2 - Nissan NICOLET / MERLIN / MARIS LMP2 328 24:00'52.334
33 37 BR01 - Nissan ALESHIN / LADYGIN / LADYGIN LMP2 322 24:00'53.918
  22 Nissan GT-R LM NISMO TINCKNELL / KRUMM / BUNCOMBE LMP1 242 24:02'17.475
  42 Dome S103 - Nissan LEVENTIS / WATTS / KANE LMP2 264 18:22'05.713
  23 Nissan GT-R LM NISMO PLA / MARDENBOROUGH / CHILTON LMP1 234 22:35'43.776
  46 Oreca 05 - Nissan THIRIET / BADEY / GOMMENDY LMP2 204 14:09'28.655
  21 Nissan GT-R LM NISMO MATSUDA / SHULZHITSKIY / ORDONEZ LMP1 115 9:39'49.668

<関連情報>
「日産モータースポーツ」サイト

以 上