日産自動車、「第52回自動車技術会賞」を受賞

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座、取締役社長:カルロス・ゴーン)は、本日社団法人自動車技術会より発表された第52回自動車技術会賞において、「国際統一側面衝突ダミー(WorldSID)の開発」など3件が、浅原学術奨励賞、浅原技術功労賞、技術開発賞を受賞したと発表した。

 同社団法人は、昭和22年に発足した学術団体で、自動車を通して国民生活の向上に寄与することを目的に現在約3万5千人の会員が活動している。
 自動車技術会賞は、昭和26年に自動車技術の向上発展を奨励することを目的に同社団法人が制定したもので、毎年選考委員会による審査を経て、浅原賞学術奨励賞、浅原賞技術功労賞、論文賞、技術開発賞、学術貢献賞、技術貢献賞が決定される。
 日産自動車は、昨年の第51回自動車技術会賞において「ガソリンエンジンのゼロエミッション化技術の開発」(「ブルーバード・シルフィ」等に採用の技術)が技術開発賞を受賞するなど、過去10年間で9件の技術開発賞、2件の浅原賞学術奨励賞を受賞している。
 なお、授賞式は5月20日一ツ橋の如水会館にて行われる予定。

 同社が今回受賞した技術および技術者は次の通り。(詳細添付資料参照)

  • 浅原賞技術功労賞
    「国際統一側面衝突ダミーWorldSIDの開発」への貢献
    技術企画部                           内村 孝彦
  • 浅原賞学術奨励賞
    「トロイダルCVTの伝達効率および設計手法に関する研究」
    動力環境研究所                     山本 建
  • 技術開発賞
    直線路車線維持支援装置(レーンキープサポートシステム)の開発」
    第一先行技術開発部                 定野 温
    電子情報研究所                      芥川 清
    車両評価実験部                      知久 直哉
    車両交通研究所                      白土 良太
    電子電装システム開発部           渡辺 敏之

以 上


 

浅原賞技術功労賞
「国際統一側面衝突ダミー(World SID※1)の開発」への貢献
技術企画部の内村孝彦氏はIHRA(国際研究調和)プロジェクトの側面衝突ワーキンググループ(WG)の日本代表として日米欧における側面衝突試験法の調和を推進する一方、WG5のWorldSID Task Groupのアジア、パシフィック地域議長として、ダミーに関する技術、生体工学面での貢献のほか、プロジェクト全体の推進、運営に尽力してきた。国際協力により世界統一を目指したダミー開発の例は過去になく、日米欧間の意見調整を行いながら粘り強く推進を図り、ダミー開発を成功させるとともに、国際協力の有効性を示し、かつその道筋をつけた同氏の功績が評価されたものである。
※1:SIDはSide Impact Dummy(側面衝突ダミー)の略。

 浅原賞学術奨励賞
「トロイダルCVTの伝達効率および設計手法に関する研究」

トロイダルCVTは燃費と運転性向上の両立が可能であり、かつ大排気量車にも搭載可能な新世代の変速機である。日産自動車では車両への搭載に必要な課題を克服し、1999年に世界で初めて「エクストロイドCVT」として商品化に成功している。
今回、トロイダルCVTの伝達効率を精度良く予測する手法を策定し、これをベースに伝達効率、耐久性、サイズ、重量など変速機に求められるすべての要件を考慮した設計法を示した。この技術によりトロイダルCVTの理論的な最適設計が可能となったことが評価された。

技術開発賞
「直線路車線維持支援装置(レーンキープサポートシステム)の開発」

日産自動車は安全で快適なカーライフの実現を目指し、ITS技術の開発に取り組んでいる。前車との車間距離を適正に保つ日本初のブレーキ制御付ACC※2の商品化に続き、左右方向の制御をすることで、ドライバーのハンドル操作負荷を軽減させる世界初のレーンキープサポートシステムを新型「シーマ」(2001年1月発売)にて開発、商品化した。本装置は、高速道路の直線路において、道路上の白線をカメラで認識し、車線に沿って走行するために必要な力の一部をアシストする。これによりドライバーのハンドル操作負荷を軽減する。本システムの開発で培った、高度な画像処理技術、車両制御技術、信頼性確保技術などは、事故低減に向けた新たな将来システムを実現するために必要となるキー技術である。
※2:ACCはAdaptive Cruise Control(アダプティブクルーズコントロール)の略。