日産自動車 工場内で自動車シュレッダーダストの再資源化開始へ

 

 

 

 

 

 

日産自動株式会社(本社:東京都中央区銀座社長:カルロス ゴーン)は、同社追浜工場(神奈川県横須賀市)内の廃棄物処理用焼却炉を一部改造し、使用済み自動車のシュレッダーダスト(破砕残さ)の再資源化を2003年秋より開始する。自動車メーカーが自社工場内の既設炉を利用してシュレッダーダストの処理を行うのは、世界でも初めてである。

2004年度後半に施行が予定されている自動車リサイクル法において、自動車メーカーは自ら又は委託してシュレッダーダストを引き取り、再資源化することが義務付けられている。同社では、シュレッダーダストの処理を基本的に既存の再資源化事業者などに委託する方針であるが、自社設備でも処理することで、得られたデータを分析し、処理コストの把握と削減に努めるとともに、新型車の設計改善につなげていく。

シュレッダーダストは樹脂やゴムなどの容積が大きなもので構成されているが、現在はそのほとんどが埋立てられているため、埋立て以外の有効な処理方法の確保が大きな課題となっている。また、燃焼による再資源化にあたり発熱量が大きく、温度制御が難しいうえ、燃焼生成物が焼却炉内部やボイラー蒸発管の表面に付着、堆積する問題が発生する。同社は、1997年から1999年にかけて直接溶融炉を使用し、シュレッダーダストの再資源化の実証実験を実施し、これらシュレッダーダスト再資源化時に発生する問題を解決した。

今回採用するシュレッダーダスト再資源化の技術やノウハウは、一般の廃棄物処理用焼却炉にも応用できるものであり、同社では、広く一般に公開し普及に努めていく。また、投資に関しては、既存の施設を改造することにより、新規に同規模の施設を建設するのに比べて、コストを20分の1程度に抑えることができる見込みである。なお、この技術は特許を出願済みである。

追浜工場では「廃棄物ゼロエミッション」の取組みにより同工場内で発生する廃棄物を大幅に低減したため、焼却炉の処理能力に関しては、その余剰能力を使ってシュレッダーダストの処理が可能となった。また、処理の際に発生する蒸気は、工場内の塗装工程の加温用などに有効利用し、同工場での省エネルギー化に結び付けていく。

以上


別紙:日産自動車のリサイクルの取組み

分類

取組み

日産環境理念

「人とクルマと自然の共生」

リサイクルに対する考え方

開発から使用済みまでの車のライフサイクル全般で一貫した取組み

リサイクル推進組織

・1990年8月リサイクル推進委員会(現リサイクル委員会)設置
・1996年5月リサイクル事業推進室(現リサイクル推進室)設置

リサイクル行動計画

・「自動車リサイクル自主行動計画」1998年2月
・「ニッサン・グリーン・プログラム2005」2002年1月

新型車開発における取組み

リサイクル可能率

・2000年以降リサイクル可能率90%以上(1998年に発表したサニーでいち早く達成後、全車種が達成済み)
・2005年までにリサイクル可能率95%以上(2002年発売のマーチとキューブで達成)

環境負荷物質削減

・使用禁止:水銀、カドミウム  (一部を除く)
・使用削減:鉛(2002年末までに概ね廃止)、六価クロム(2005年までに1996年比で1/2以下)

販売会社の取組み

環境マネジメントシステム

・「日産グリーンショップ認定制度」全236販売会社の認定(2002年3月)

使用済み自動車処理における取組み

リユース部品の供給

・リユース/リビルト部品「ニッサングリーンパーツ」の全国供給網完成(2000年10月)

解体・適正処理研究・開発

・使用済み自動車解体リサイクル実証委託工場での実証研究(1997年10月より)
・使用済みエンジン冷却液リサイクル装置「復活くん」の開発と販売(1999年4月)
・廃油・廃液適正処理装置「ワンステージドレン」の開発と販売(2001年5月)

材料リサイクル

・     回収した部品を同一部品へ再利用(電気自動車ハイパー・ミニでバンパー、インストルメントパネル、エアダクト、カーペットの4部品に採用)(2000年)
・     販売会社での修理・交換で生じた廃バンパーをリサイクルして新車部品に採用(1992年〜:2002年度実績約23万本)

シュレッダーダスト処理

・     直接溶融炉実証プラントによるシュレッダーダストの再資源化研究(1997年〜1999年)
・     追浜工場既存焼却炉による再資源化(2003年〜)