日産自動車、中期品質向上プログラム「日産GT 2012 - クオリティ・リーダーシップ」を発表

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は24日、同社が本年5月に発表した五ヵ年の中期経営計画「日産GT 2012」の目標のひとつである「品質領域でリーダーになる」ことを実現する方策として、品質向上プログラム「日産GT 2012 - クオリティ・リーダーシップ」を策定したと発表した。本計画は、感性品質・魅力品質、製品の品質、営業・サービス品質、マネジメント品質の4つの分野において、2012年度までにリーダーとなる目標を掲げている。
本プログラムでは、6つの指標において目標を立て、またそれらを遂行するために日産エクセレンスプログラムチーム(NEP)をグローバルで7チーム立ち上げた。NEPは常務(SVP)または執行役員(CVP)をリーダーに、設計品質向上、生産品質向上、ブレークダウン品質向上、セールスでのCS向上、サービスでのCS向上、対策期間向上、サプライヤー品質の7つのテーマに取り組む。NEPは、既に07年5月より「日産GT 2012 - クオリティ・リーダーシップ」の準備を始めており、本年4月より計画の実行段階に移行している。

「日産GT 2012 - クオリティ・リーダーシップ」が定める6つの目標

2007年度の実績に対して2012年度までに、

  • 納車後三ヶ月間に発生する故障・不具合件数の半減
  • サプライヤーからの納入部品不良率の半減
  • ブレークダウン率の半減
  • 市場で故障・不具合が発生してから、対策部品を準備するまでの期間の半減
  • 営業満足度SSI(Sales Satisfaction Index)並びに顧客サービス満足度CSI(Customer Service Index)においてトップレベルになる地域の倍増
  • 感性品質において、トップとなる車種数の倍増

品質担当常務の加藤和正は、「日産GT 2012 - クオリティ・リーダーシップ」について、「日産はルノーとお互いをベンチマークしながら多様な手法を採り入れ、常に継続して品質向上に努めてきた。今回発表した中期品質向上プログラムは、『日産GT 2012』実現に欠くことのできない計画であり、これを達成することにより全てのステークホルダーからの信頼が得られるものと信じている。」と述べた。

 

「日産GT 2012 - クオリティ・リーダーシップ」が定める6つの目標

  1. 納車後三ヶ月間に発生する故障・不具合件数の半減
    不具合の起こる部品は車両全体部品の約35%であり、残り約65%の部品では不具合は発生していない、すなわち『ゼロディフェクト』を実現している。
    2012年までに故障・不具合を半減させるためには、設計段階より約35%の部品の問題を事前に顕在化させ、ゼロディフェクトを実現する為の要件を織り込むことが必要である。不具合を発生させない部品の設計を強化するため、日産は設計審査を行うデザインレビュー(DR)という手法を導入している。DRでは、部品を新たに設計する時、並びに新規車種に採用する時に、その部品の潜在的不具合リスクを精査するシステムを強化し、不具合を未然に防ぐ部品を作りこんでいく。本年度は新たにクイックDRという手法を導入し、DR適用領域を大幅に拡大する。クイックDRは有資格者に限って実行できるが、本資格取得者を、グローバルで2010年度を目処に、段階的に部長クラスで06年度の2名から50名へ、課長クラスで5名から1000名へ、課員レベルで250名から4300名へ増やす計画である。
    また、生産段階の取り組みとして、本年度より随時精密測定機器の導入を拡大する。これによって、工場からの不具合流出を徹底的に防ぐことができるようになるとともに、工程能力を測ることで、不具合になりうる生産工程の要素を未然に防ぐことができるようになる。
  2. サプライヤーからの納入部品不良率の半減
    日産の部品調達先はグローバルに拡大しているが、日産の製品品質レベルを確保する為、ルノーと共同のサプライヤー品質指標、“アライアンス・サプライヤー・エバリュエーション・スタンダード(ASES)”を基準として、サプライヤーの生産拠点の品質保証レベルをランク付けし、一定のランクに達したサプライヤーのみ採用している。今後「クオリティ・リーダーシップ」実現の為、ますますサプライヤーとのパートナーシップを強化する。日、米、欧の各開発拠点に昨年度開設した、フィールドクオリティセンター(FQC)を最大限活用し、サプライヤーに対する市場の品質情報、不具合部品の提供、合同調査を拡大する。また、サプライヤーのASESによる再評価を実施し、改善計画を合同で立案することで、改善を進め、納入不良率を2012年までに半減する。
  3. ブレークダウン率の半減
    ブレークダウンとは走行に支障があるような路上故障のことである。日産は、ドイツ、フランス、英国、スペイン、イタリア、ロシア各国の配給店内に08年度よりシフトクオリティチームを設置し、ブレークダウン案件のモニタリングを開始した。ブレークダウン発生後案件の詳細情報を20分以内に取得し、日産の開発チームが現場に赴き、原因を突き止めることを目標としている。また現地ディーラーなどで修理が行われる前のブレークダウン車の捕縛率を2012年までに、90%以上にする。
  4. 市場で故障・不具合が発生してから、対策部品を準備するまでの期間の半減
    市場において故障や不具合が発生し、お客さまが販売会社に入庫された際、その不具合原因を突き止め、その問題に応じて、設計段階あるいは生産段階においての対策を施し、対策部品を工場で採用し、且つ、サービス部品として市場に準備する。この、お客様の入庫からサービス部品の準備完了までの期間を管理し、その時間を削減していく。設計段階での問題が起因している場合については2012年度までに対2007年度で40〜50%の対策時間の削減を図り、生産段階での問題については同時期の対比で25〜40%の削減を目標としている。この対策時間の削減を実現するために、FQCを活用し、市場で起こった不具合部品を回収後、開発担当、生産担当、サプライヤーが一同に会して不具合原因を究明、対策を行っている。
  5. 営業満足度(SSI: Sales Satisfaction Index)並びに顧客サービス満足度(CSI: Customer Service Index)においてトップレベルになる地域の倍増
    グローバル営業サービス品質部を本年4月に設立し、日産セールス&サービスウェイという日産のお客さま対応方針、プロセスを日産車を販売する7000店舗以上へ浸透させる活動に着手している。グローバルに13万人の販売店スタッフを対象とした研修や、本年3月に本格稼働した日産カスタマーサービスセンター(NCSC)を活用し、お客さま対応や販社への支援を強化している。
  6. 感性品質において、トップとなる車種数の倍増
    感性品質(PQ)とは、お客さまの視点で、見て触って使って実際に感じる質の良さを評価する指標であり、本年度より、特にお客さまが重視する10項目において重点的に取り組んでいく。

以 上