日産、ルノーの強力なサポートにより、南米市場へ本格進出

2000年5月29日



日産、ルノーの強力なサポートにより、南米市場へ本格進出



 ブラジル、サンパウロ市(5月29日)-- 日産自動車とルノーは本日、メルコスール(南米南部共同市場。アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイが加盟。)における長期戦略を発表した。日産はこれをリバイバルプラン発表後の最初の積極的な成長戦略として位置づけ、ルノーの協力を得ながら年間15万台以上の販売を2010年までに達成する目標を掲げた。日産はまず同地域において2005年までに合計3億USドルを投資し5つの車種を現地生産する。また、生産、購買、販売、管理などの様々な分野においてルノーとの協力体制を確立する。日産のメルコスールへの本格進出により、日産とルノーは、2010年までにメルコスールでのシェアを15%まで高める計画である。現地生産する最初のモデルは2002年第1四半期よりブラジルのルノーの工場で生産を開始する新型ピックアップ(現地名:フロンティア)となる。 

メルコスール市場は、現在170万台の全需が2010年には300万台を上回るとみられている。日産はこの有望なメルコスール市場での競争力を高めることで、その戦略-継続的な利益ある成長-を前進させる。また、同市場で高いプレゼンスを持つルノーのサポートを得ることで、参入コストを最小限にし商品ラインアップの強化に集中投資を行う計画である。

本プロジェクトは新型ピックアップの生産から始まり、年間2万台の生産を予定している。このモデルは今夏に米国で発売を開始するフロンティア2001年モデルをベースにしたものである。これにより日産は現在年間4,000台にとどまっているメルコスールでの販売台数を大幅に引き上げる。初期投資額は9,000万USドルを予定している。部品調達先の90%はルノーと共通のサプライヤーとなり、2002年時点での現地調達率は64%に到達する見込みである。

ブラジルのルノーの生産拠点(パラナ州 クリチバ)でのフロンティア生産開始に続いてその1年後を目処に、日産はルノーのメルコスール地域内の工場で第2車種の生産を行う。生産車種は米国で各賞を獲得し人気を博しているエクステラ(テネシー州日産スマーナ工場にて生産)を軸として検討している。さらに乗用車、SUVなど3車種を、メルコスール地域で生産する予定であり、2005年までの追加投資額は2億1千万USドルを見込んでいる。

日産とルノーは、生産面に加えて、販売、及び、管理部門においても協力体制をとる。

販売面では、日産はまず、ブラジルでの販売網構築にあたり、既存のルノーの販売網からディーラーを選出し、2003年には販売店の数を120まで増強する。アルゼンチンにおいては、ルノーの販売網からディーラーを選出し、既存販売網を補強する。また、サービス、物流、管理などのバックオフィス機能をルノーのインフラを活かして統合し、両社におけるコストの最小化、及び、一層の効率化を図る。

日産は新型フロンティアの生産投資のために2000年中にもブラジルに子会社を設立する。その後2002年以降この子会社はブラジルでの日産車の輸入・販売、またブラジル製日産車の近隣諸国への輸出を手掛ける。

フロンティアやその他の新モデルの投入により、日産はメルコスール市場において、年間15万台以上の販売、又は、4%超のマーケットシェアを目指すとしている。

日産にとってこのプロジェクトは日産リバイバルプラン発表後の最初の重要な成長戦略となる。

「日産リバイバルプランは確実に実行されており、今こそ成長へ向かう時である。ルノーとのアライアンスを活かし、リバイバルプランが奏効し、本日ここにメルコスールでのビジネス拡大について発表出来ることを嬉しく思う。」とカルロス・ゴーン日産COOは語った。

ルノーはメルコスールにおいて1995年以降、利益ある成長のための意欲的な戦略を実行して��た。アルゼンチンにおいて長期にわたって築きあげたプレゼンスを基に、南米最大の市場であるブラジルへの進出を果たした。ルノーは1996年から2001年にかけて総額15億USドル(1,545億円)をメルコスールに投資し、同地域で2005年には年間で32万台を販売する計画である。

ルノーのメルコスールでの拡大戦略は、いずれ4つとなる組立工場と2つのパワートレイン工場からなる強力な生産体制に基づくものである。

ブラジル(パラナ州 クリチバ、サン ジョゼ ドス ピニャイス)の工場は最新設備を誇り、現在乗用車を生産している車両組立工場(年間生産能力:12万台)と、エンジン工場(年間生産能力:28万基)から成っている。2001年には新たな車両組立工場(年間生産能力:5万台)が稼動を開始し、小型商用車を生産する。まずはルノー・マスターと日産・フロンティアを生産する計画である。

アルゼンチンには、設備の更新が最近行われた、乗用車と小型商用車を生産するコルドバ工場がある(年間生産能力:13万台)。ルノーはまた、ウルグアイで車両組立を行い、チリにトランスミッション工場を持っている。

経済情勢の停滞により市場環境は厳しいものの、メルコスールにおいてルノーは1999年には約11万台を販売し、市場シェアを6.3%に伸ばした。アルゼンチンでのシェア(19.2%)をより強固なものとし、また、ブラジルでは32,500台を販売、市場シェアを前年比2倍の2.7%とした。ルノーは現在メルコスールで第5位のブランドである。ルノーの配給店ネットワークは、アルゼンチンに75の支社とディーラー、ブラジルに100を超えるディーラーを擁している。

ルノーの生産、販売にわたる広範囲なサポートによる、日産のメルコスールへの本格参入により、直接的な雇用で600人、間接的には3,000人もの雇用が創出される。

ルノーのピエール・アラン・ドゥスメット上級副社長は、「メルコスールは将来の競争において必ずや鍵となるマーケットである。ルノーはメルコスール市場で日産が最小限のコストでそのプレゼンスを拡大するためのあらゆる生産、販売面でのサポートを行い、日産とルノーがこの地域とともに成長していくことを望んでいる。」と語った。

以  上