日産自動車、「ティーノ ハイブリッド」の公道走行プログラムを開始

2000 Tino Hybrid V10

 

 

 

 

 

日産自動車、「ティーノ ハイブリッド」の公道走行プログラムを開始
              
 日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座、社長:塙 義一)では、同社のハイブリッドシステム「NEO Hybrid」を搭載した車両、「ティーノ ハイブリッド」を開発、来年初頭からの発売を目指し、1999年4月より、公道走行プログラムを実施する。

 

本プログラムは、従来のエンジン車と大きく異なる特性を持つハイブリッド車が、実際の路上で遭遇する様々な使用環境においてお客様に十分満足いただけるものになっているかどうかを確認するために行われる。この中では、社内の実験ドライバーによる車両走行データの収集に加え、一般のドライバーを対象とし、通勤、買い物などの日常シーンでの走行も実施される予定となっており、得られたデータは、発売を予定しているハイブリッド車の技術にフィードバックされる。

 また、このプログラムでは、正規生産車とほぼ同仕様の試作車20台程度が使用され、全国の一般道、高速道、山岳路などあらゆる走行環境で実施される。総走行距離は延べで約100万kmを予定している。なお、同社がこのような走行プログラムを行うのは今回が初めてである。

 本プログラムに使用される車両は、21世紀のクルマ社会に対する日産からの提案として昨年末に投入した「ティーノ」にNEO Hybridを搭載することにより、同クラスのガソリン車に対して、2倍以上の燃費向上を達成するとともに、CO2排出量を2分の1に削減した。さらに、CO、HC、NOXの排ガス値を現行規制値の約10分の1と、大幅に低減させた。また、バッテリーを床下の車両重心付近に搭載できることから、「ティーノ」がもつ広々とした室内空間と高い操縦安定性も確保している。

 さらに、自動車への採用は世界初となるマンガン系正極のリチウムイオンバッテリーによるシステムの軽量化やコスト低減、HYPER CVTによる力強い加速や滑らかな走りを実現するなど、日産独自の技術を組み合わせることによる利点を活用している。

  
NEO Hybridシステムの主な特長
(1)高いエネルギー効率による大幅な燃費向上、クリーンな排気
NEO Hybridでは、2つのモーターとバッテリーを組み合わせ、一方のモーター(3:図参
照)は、モーター走行時の動力源となるとともに、減速時には発電機として作用し、回生発電を行う。また、もう一方のモーター(4)は、エンジン始動を行うとともに、バッテリー充電量が一定レベルより下がるとエンジンの動力を受け、発電機として作用する。

 

 

 

 

同システムでは、エンジン効率の悪い発進時や低速走行時は、モーター3の動力のみで走行し、中高速走行時はエンジンの動力のみで走行する(急加速時等にはモーター3からも動力が伝達される)。また、減速時にはモーター3が回生発電を行い、バッテリーを充電する。なお、車両停止時にはエンジンは自動的に停止される。
この様に低速時、中高速時、急加速時等の走行状況に応じて、動力源を最適に使い分ける高効率な動力伝達システムにより、同クラスガソリンエンジン車に比べ燃費が2倍以上向上するとともに、クリーンな排気を実現している。

(2)連続可変バルブタイミングコントロール採用により大幅な燃費向上を図ったエンジン
エンジンは、QG18DEエンジンをベースとし、各部の摩擦部分の抵抗を小さくすると同時に連続可変バルブタイミングコントロール(CVTC)の採用により圧縮比を高くし、燃費を大幅に向上させた。

(3)HYPER CVTによる優れた動力性能と低燃費との両立
HYPER CVTの無段変速機能により、エンジンとモーターそれぞれの効率の良い運転が可能となり、燃費の向上と力強く滑らかな加速性能との両立を実現した。また、エンジンとモーターの発生トルクをCVTで自在に変速させて駆動力を発生させているので、モーターの効率の良い低速域はもちろん、エンジンの効率がよい中高速域においても優れた動力性能を有している。

(4)ハイブリッド車専用高出力型リチウムイオンバッテリーの採用
自動車への採用は世界初である、マンガン系正極のハイブリッド車専用リチウムイオンバッテリーの採用により、その搭載重量を電気自動車の10分の1程度(ルネッサEV比較)に軽減するとともに、大幅なコストダウンを図った。また、充放電効率の高い同バッテリーの特性により、モーター走行やエネルギーの回生を効率良く行うことを可能としている。

(5)新開発ハイブリッド用高速電子制御システムによる最適制御
新開発ハイブリッド用高速電子制御システムにより、エンジン、モーター、CVT、バッテリー等の高性能ユニットを全運転域で最適に制御し、滑らかで力強い運転と省エネルギーを両立させている。

 

 

 

 

 

 

1.QG18DE改良型エンジン(1.8リッター、ガソリン4気筒)
2.HYPER CVT改良型(金属ベルト式無段変速機、モーター/電磁クラッチ内蔵)
3.永久磁石型交流同期モーター(駆動/回生用)
4.永久磁石型交流同期モーター(発電/始動用)
5.リチウムイオンバッテリー(マンガン系正極型) 
6.電磁クラッチ 
7.インバーター(交流直流変換装置)

 

以上