
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:内田 誠、以下「日産」)は、革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを支え、カーボンニュートラルの実現に貢献する日産独自のクルマづくりコンセプト「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を導入した栃木工場の生産ラインを初公開しました。あわせて、生産工場において2050年カーボンニュートラルを実現するロードマップを発表しました。
同社の生産・SCM担当副社長である坂本 秀行は、「現在、自動車業界は大きな変革期にあり、気候変動に対するグローバルな課題解決も待ったなしの状況です。しかし、私たちはこれをチャンスと捉えています。日産のDNAの一つであるモノづくりの強さをさらに発展させ、革新的な生産技術を開発・適用することで直面する課題を打破し、栃木工場を皮切りに『ニッサン インテリジェント ファクトリー』をグローバルに導入していくことで、脱炭素化社会に向けた次世代のクルマづくりを推進します。そして、生産分野においても人々の生活を豊かにするためのイノベーションをドライブし続け、今後の日産の飛躍を支えていきます。」と述べました。
〇「ニッサン インテリジェント ファクトリー」
日産は、これまで高品質で高効率な生産工程や高い技能を持つ匠の技術により、高精度なクルマづくりを実現してきました。しかし、生産を取り巻く事業環境は大きく変わりつつあります。従来の労働集約型の生産から脱却し、高齢化社会や深刻な人手不足に対応するための労働環境改革や、気候変動やパンデミック等の予期せぬ事態への対応が求められています。さらに、クルマの電動化や知能化、コネクテッド技術によって、クルマの機能や構造の高度化、複雑化が急速に進んでいます。
日産はこうした環境の変化に対応し、クルマづくりのあり方を変えていく「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を日本の栃木工場に初めて導入しました。同コンセプトによって、電動化技術やコネクテッド技術を数多く搭載した次世代のクルマへの対応、匠の技を伝承したロボットによる最高品質の量産、人とロボットが共生する誰でも働きやすい職場、さらにはゼロエミッションの生産システムを実現し、脱炭素社会に向けた取り組みを加速させていきます。同工場では、本年度より新型クロスオーバーEV「日産アリア」の生産を開始します。
〇カーボンニュートラルの実現
日産は2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体*1におけるカーボンニュートラルを実現する新たな目標に取り組んでいます。生産分野においては、「ニッサン インテリジェント ファクトリー」をはじめとする車両組み立て時の生産効率を向上させるイノベーションを推進すると同時に、工場で使用するエネルギーと材料の効率を向上させることで、カーボンニュートラルを実現していきます。具体的には、工場のエネルギーを削減しながら革新的な生産技術を導入し、2050年までに工場設備を全面的に電動化します。同時に、使用する電気をすべて再生可能エネルギーで発電された電気と代替燃料を使って燃料電池で自家発電した電気に替えていくことで、生産工場におけるカーボンニュートラルを実現していきます。
以上
添付資料:
ニッサン インテリジェント ファクトリーについて
〇 ニッサン インテリジェント ファクトリーの柱
1)「未来のクルマを作る技術」:CASEへの対応
電動化や知能化、コネクテッド技術など、より高度で複雑な技術が搭載される次世代のクルマを生産するため、生産ラインを革新します。
2)「匠の技で育つロボット」:最高品質の量産
匠の磨き抜かれた技を数値化し、ロボットに伝承します。匠は更なる現場改善や、自動化できない感性品質や複雑化する技術への対応などによって最高品質のクルマづくりを支えていきます。
3)「人とロボットの共生」:働きやすい職場
人には厳しい作業をロボットが助けることで、人が働きやすい環境をつくっていきます。女性や高齢者も活躍できる工場にすることで、働き方の多様化を推進します。
4)「ゼロエミッション化生産システム」:カーボンニュートラルへの対応
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、生産設備の完全電化と再生/代替エネルギーの全面適用を推進します。
〇 具体的な技術(カッコ内は上記の柱で該当するものを表す)
パワートレイン一括搭載システム(1、3)
サスペンションリンク自動締付け&自動アライメント調整(2、3)
ヘッドライニング自動組付け(2、3)
CPM(コックピットモジュール)自動組付け (2)
新接合工法「ディンプル溶接」(1)
クルマの知能化に対応する電装システム(1)
8極式巻線界磁モーター(磁石レス)巻線の自動化 (1)
塗装外観自動検査(1、2)
統合自動検査(仕様&キズ検査)(1、3)
ボディとバンパーの一体塗装・焼付け (4)
高効率エアリサイクルを実現する塗装ドライブース (4)
IoTによる品質保証管理システム (1)
デジタル技術による早期作業習熟の実現(IOSS)* (1)
リモート設備メンテナンス (1)
設備故障診断システム & 予知予防設備保全 (1)