フォーミュラE ルール解説

日産フォーミュラE、桜のデザインを取り入れた新しいカラーリングのGen3マシンを公開

ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、世界各地の市街地に特設されたサーキットで行われる電気自動車(EV)のレースシリーズです。モータースポーツ専用常設サーキットで行われる場合もあります。 レースはe-Prixと呼ばれます。

 

チーム

2023/24年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン10では、11チームが参戦しています。各チームは、2台のマシンと2人のドライバーで選手権を戦っています。日産は、モータースポーツ界で成功を収めてきた世界最大級の自動車メーカーや、新興EVメーカーと共にレースに参戦しています。

 

チャンピオンシップとランキング

ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、ドライバー部門とチーム部門の2つの部門でタイトルを争います。ドライバーズチャンピオンシップは、シーズン中に最も多くのポイントを獲得したドライバーに与えられます。 チームチャンピオンシップは、シーズンを通して2名のドライバーが獲得した得点を合計した点で決定されます。

 

ポイントシステム

フォーミュラEは、FIA公認シリーズで採用されているポイントシステムを採用しており、上位10位までの入賞者にポイントが与えられます。

1位 - 25ポイント
2位:18ポイント
3位 - 15ポイント
4位 - 12ポイント
5位 - 10ポイント
6位 - 8ポイント
7位 - 6ポイント
8位 - 4ポイント
9位 - 2ポイント
10位 - 1ポイント

また、ポールポジションからスタートしたドライバーには3ポイントが与えられます。

加えて、決勝レース中にファステストラップ(最速ラップ)を記録したドライバーにも1ポイントが与えられます。ただし、ファステストラップのポイントを得るためには、上位10位以内で完走する必要があります。ファステストラップを記録しても10位以内で完走できない場合は、10位以内で完走し、かつ2番目のファステストラップを記録したドライバーがポイントを獲得します。

 

レース開催の流れ

シェイクダウン

e-Prixでは多くの場合、決勝レースの前日である金曜日にシェイクダウンセッションが行われます。目的はすべての性能を確認することではなく、ドライバーが電子システムやマシンの信頼性を確認するためで、マシンの最大出力は110kWに制限され、制限速度がある状態で走行します。FIAは各チームからのフィードバックに基づき、コースレイアウトや縁石、コースの特徴などを確認します。

Formula E シーズン10開幕戦 メキシコシティを走る日産カー

 

練習走行

各レースには2回の練習走行 (フリー走行)があり、レース前日のフリー走行1と当日のフリー走行2があり、それぞれ30分間ずつ行われます。ダブルヘッダーの場合、2日目は30分のセッション1回のみとなります。

チームとドライバーはコースに出てタイムを計測しながら、コースの感触をつかみ、クルマのセットアップを調整します。

また、才能ある若手ドライバーにトップレベルの電動モータースポーツを体験してもらうべく、各チームはシーズン中に少なくとも、2人のルーキードライバーをフリー走行1に投入しなければなりません。

 

予選

グループステージでは、チャンピオンシップのランキングに基づき、11人のドライバーで構成される2つのグループに別れて、10分間のセッションで300kWによるラップタイムを競います。

それぞれのグループから上位4人がデュエルステージに進み、2人のドライバーが直接対決を行います。同ステージの準々決勝を勝ち上がったドライバーは、準決勝進出を賭けて350kWのデュエルで対決。最後まで勝ち残った2人のドライバーが決勝デュエルで対決します。

デュエルの優勝ドライバーはポールポジションを獲得し、準優勝ドライバーは2番手に並びます。準決勝進出者は3番手と4番手、準々決勝進出者は5番手から8番手にラップタイム順で並びます。

 

e-Prix

フォーミュラEの決勝レースはe-Prixと呼ばれます。e-Prixは、信号が青になった瞬間にマシンがスタートするスタンディングスタートで始まり、決められた周回数で行われます。
セーフティカーやフルコースイエローの中断による周回数の追加は可能で、追加される周回数はe-Prix終了の3周前に発表されます。

 

アタックモード

アタックモードでは、すべてのドライバーが通常の300kW出力に50kWを追加して走行することができます。ただし、アタックモードを使用するためには、ドライバーはレーシングラインを外れたところに設定されるアクティベーションゾーンを通過する必要があります。よりハードに攻めたい場合、ドライバーは数周に渡ってこのアタックモードを使用することができます。アタックモードを使用できる時間は、FIAがレース前に発表します。

シーズン10の後半には、最新鋭のバッテリーと充電技術を使用したピットストップによるアタック・チャージが導入され、レース中にエネルギーをブーストすることができます。この30秒間のピットストップにより、2回のアタックモードが解禁され、マシンは通常の300kWに対して350kWで走行することができます。

日産のドライバースーツを着たサッシャとオリバー

 

ダブルヘッダー

多くの決勝レースは1日で実施されますが、なかには2日間で2連戦が行われる場合があり、ダブルヘッダーと呼ばれています。2日目の練習走行は、30分間の1回のみとなりますが、その他のスケジュールは1日目と同じです。

 

タイヤ

全チーム、全ドライバーが、ハンコックから供給される専用の18インチの溝付きオールウェザータイヤを使用します。各ドライバーは、レース毎にリアタイヤ4本、フロントタイヤ4本以上の新品タイヤを使用することはできません。ダブルヘッダーではリアタイヤ6本、フロントタイヤ6本が使用できますが、2戦を通して同じものを使う必要があります。

 

充電時間

予選中、決勝中、車両保管所(パルクフェルメ)での保管中や車検中の充電は禁止されています。チームはセッション間や練習走行中にマシンを充電することができます。

 

e-Licence

フォーミュラEに参戦するためには、ドライバーは以下の事項を遵守する必要があります。

ドライバーは、電気に関する安全、電気自動車フォーミュラEマシンの特徴、レースシリーズの技術的およびスポーツ的側面を認識するためのFIAのトレーニングセッションを受けなければなりません。

ドライバーは、FIAポイントシステムに基づき、スーパーライセンスポイントを過去3年間に20ポイント以上獲得している必要があります。もしくは、過去にスーパーライセンスを保有していた、また、過去のフォーミュラE選手権に3回以上参加したことがある場合も資格があります。

前シーズンのチャンピオンは、翌年のスーパーライセンスの資格を自動的に得ることができます。

上記事項が満たされていなくても、シングルシーターカテゴリーで十分な実績があるとFIAが判断したドライバーであれば、参加可能な場合があります。