日産フォーミュラEチーム、シーズン9のこれまでを振り返る

日産フォーミュラEチーム、シーズン9のこれまでを振り返る

4大陸5都市で行われた6戦のレースを終え、日産フォーミュラEのゼネラルマネージャー兼日産フォーミュラEチームのマネージングダイレクターであるトマソ ヴォルペは、Gen3マシンが新たに導入されたフォーミュラE世界選手権シーズン9のこれまでを振り返りました。

 

Gen3マシンについて

新しく導入されたGen3マシンについて、驚いたことはありますか?

トマソ ヴォルペ:まず驚いたのは、エネルギーマネジメントの幅が広がったことです。以前はリアアクスルで回生していたのですが、新しいマシンではフロントでもリアでも回生できるので、マネジメントの可能性が広がりました。次に、アタックモードへの影響です。アタックモードを使う場合、レーシングラインから外れたアクティベーションゾーンを通るため、タイムロスする傾向にありましたが、出力が向上した新しいマシンではロスを挽回しやすくなりました。しかし、300kWと350kWの差はそれほど大きくないので、タイムロスしないようにアタックモードを使うことがポイントです。

 

チームはGen3のマシンにどのように適応していますか?

トマソ ヴォルペ:シミュレーターやフリー走行でさまざまな練習を行い、オープンマインドで、さまざまなアプローチを試しながらマシンに適応しています。例えば、練習走行では少しペースを落として、シャシーとタイヤの限界を探りながらマシンをチューニングしたりもしました。新開発のタイヤや、より強化された回生ブレーキを採用した新しいマシンに適応するのはチャレンジングでした。

 

ドライバーは新しいマシンに上手く対応できていますか?

トマソ ヴォルペ:ドライバーたちは本当に頑張っていますし、新しいマシンにも短期間で対応しています。短い間隔で6つのレースを経験できたので、マシンに慣れる時間を充分に取れたようですね。データに頼るだけでなく、実走行から学べたことは非常に良かったと思います。

 

 

新しいマシンは、ファンの期待ほど速くないようですが、その点をどう見ていますか?

トマソ ヴォルペ:技術的な仕様が大きく変わると、最初の数レースはもちろん、シーズンを通しても最適なパフォーマンスを発揮できるとは限りません。そのため、速さだけに捉われないようにしています。まだGen3でのレースは始まったばかりですし、経験を積めば、マシンは今後もっと速くなるでしょう。また、今シーズンはGen2のレースよりも見どころが増え、よりエンターテインメント性を高めているので、ファンの立場からすると、さらに面白いスポーツになっていると思います。

 

パワートレインの供給について

日産がマクラーレンにパワートレインを供給したことで、何か変化はありましたか?

トマソ ヴォルペ:マクラーレンは、私たちにとって非常に重要なパートナーですし、日ごろから密に連携しています。確かに、やらなければならないことは増えますが、追加で得られるデータやフィードバックは、チームにとって有益です。同じマシンに4人のドライバーが乗っているわけですから、マシンの使い方をより多く検討できるようになり、開発へのインプットも多くなります。

 

日産のパワートレインの性能に満足していますか?

トマソ ヴォルペ:制御システムやソフトウェアなど、まだまだ改善できる部分はあると思いますが、今のところ満足しています。

 

サーキットでのパフォーマンスについて

ここまでのシーズンを総括すると?

トマソ ヴォルペ:最初の数レースは苦労しましたが、直近のレースでは、私たちにも高いポテンシャルがあることを示すことができました。しかし、望ましい結果をまだ得られていないので、シーズン後半も、この調子でパフォーマンスを発揮できれば、より良い結果が得られると考えています。

 

シーズン8からのチームの歩みに満足していますか?

トマソ ヴォルペ:ええ、もちろんです。シーズン7と8は、チームにとって多くの課題があり、フラストレーションも溜まっていました。しかし、今シーズンの、特に最近のレースでは、チームが集中力を切らすことなく、本来の力を取り戻してきていると思います。

 

シーズン9のこれまでの結果を踏まえて、残りのレースをどのように戦っていくのでしょうか?

トマソ ヴォルペ:このままいけば、シーズン後半はもっと良い結果が得られると思います。ここまでは、なかなか思うような結果が出ませんでしたが、シーズン終盤にはトップチームと安定して競えるようになると思います。そして、さらに高い目標を持ってシーズン10へ臨むことができると思います。

 

 

チームとドライバーの変更について

チームが一つの組織に集まったことで、どのような違いを感じていますか?

トマソ ヴォルペ:まず、チームスピリットが強化されたと思います。また、日産という大きな企業が全面的にサポートしてくれていることは、チームやその関係者にも大きな自信につながっています。このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、既にいくつかの重要な変更を行い、チームの有能な若手メンバーに投資しています。一朝一夕に結果が出るとは思っていませんが、日産が私たちを後押ししてくれることは、チームの全員の自信を高めてくれました。

 

ナトーとフェネストラズのチームでの様子はどうですか?

トマソ ヴォルペ:彼らはとてもうまくチームに溶け込むことができました。ナトーは、自身の経験を活かしてチームに馴染んでくれましたし、フェネストラズはサーキットの外でもチームメンバーとの関係構築が上手く、2人の活躍にはとても満足しています。

 

二人の新しいドライバーを迎えたことは、チームにどのような影響を与えていますか?

トマソ ヴォルペ:今シーズンはチームに多くの変化がありました。新しいオーナー、組織の変更、新しいマシン、そして二人の新しいドライバー、そのうちの一人はルーキーです。才能あるメンバーの上に成り立っている私たちのチームにとっても、今回のような多くの変化は間違いなく大きなチャレンジです。しかし、最初は苦労したとしても、中長期的にはプラスになると確信しています。

 

 

ルーキーがフォーミュラEのフル参戦デビュー後すぐに競争力を発揮するのは難しいことなのでしょうか?

トマソ ヴォルペ:本来とても難しいことだと思いますが、フェネストラズはそれを難なくやってのけているように見えます。小さなミスこそありましたが、ルーキーの最初の数レースにはつきものです。ハイデラバードとケープタウンでの彼のパフォーマンスには非の打ちどころがありませんでした。フォーミュラEは他のカテゴリーとはまったく異なるドライビングスタイルですので、ドライバーが適応するのはとても難しいのですが、彼はそれを見事にやってのけました。

 

ドライバーたちは、Gen3マシンとの挑戦を楽しんでいるのでしょうか?

トマソ ヴォルペ:そう思います。まだ始まったばかりなので、マシンの様子を見ながらパフォーマンスを最適化しなければなりませんが、総じてドライバーは挑戦を楽しんでいます。オーバーテイクも多くなっていると思います。

 

ハイデラバード、ケープタウン、サンパウロのレースをどう振り返りますか?

トマソ ヴォルペ:自分たちのペースとパフォーマンスに見合ったポイントを獲得することはできませんでしたが、レースで私たちのポテンシャルを確認できたことには満足しています。インド、南アフリカ、ブラジルは日産にとって非常に重要な市場ですので、今後もこれらの国々でレースが続けられるよう、チーム一丸となって戦っていきます。

 

詳細はこちら Global.NissanNews.com/FormulaEPressKit

 

以上